安冨 歩

定価: ¥ 882
販売価格: ¥ 882
人気ランキング: 30874位
おすすめ度:

発売日: 2007-04-17
発売元: 光文社
発送可能時期: 通常24時間以内に発送
昔は全然本とか読まない人だった私ですが、最近ようやく読書の楽しみがわかってきたような気がします。ジャンルは特に気にしないで色んな本を読んでますね。今読んでいるのは「ハラスメントは連鎖する 「しつけ」「教育」という呪縛 (光文社新書 299)」。
本ってオモシロイですよね。「ハラスメントは連鎖する 「しつけ」「教育」という呪縛 (光文社新書 299)」みたいに、特に今の自分と関係ないジャンルの本でも「へぇ~~」って新たな気付きが得られたりして^^!
そう言えば兄が、この「ハラスメントは連鎖する 「しつけ」「教育」という呪縛 (光文社新書 299)」を読み終わったら貸して欲しいって言ってたけど、こーゆうの興味あるのか~~とチョット複雑な気分です。ま、いいけど・・・。
仁なきをハラスメントという
「複雑さを生きる」で人間を人間たらしめているコミュニケーションにハラスメントという危険な契機が潜むことを指摘した安冨氏。今回は自然科学者の本條氏との共著で心理学からの光を当てることでハラスメントの科学を展開している。一部子供っぽい例示もあるが全体としては十分に説得力のあるロジックになっている。
昨今企業ではコンプライアンスの要請から行動規範遵守のため右に倣えの研修が盛んだ。業界や社内の掟が法律より優先された時代は過去のもの。しかし外部規範という型にはめること自体がハラスメントの契機を有することに気付かされる。学校のいじめを解決しようと教員管理を厳しくするのも同じ間違い。コミュニケーションはフィードバックが大事だというドラッカーが魂の脱植民地化というハラスメントとの戦いを説いていたのだとは。
非現実的な決め付けこそ、ハラスメント
1章で展開されるハラスメントの定義やコミュニケーションとの関連性についての解説は、なんとか理解できるのだが、その後が受け入れがたい。
たとえば2章の、ハラスメント伝播のシミュレーション。これはフィクションだと断ってはいるものの、あまりにも飛躍した極端な例の提示だけで終わっている。伝播しない例も出して論理的に比較検証すべきだ。引用するのも恥ずかしい、ワイドショーの再現ビデオと変わらないような事例だけを使った主張は、日本最高学府の研究者のそれとは思えない。
さらに5章での、「しつけ、教育の有害性」論もあきれてしまう。「食事の時間でないから空腹を我慢させる。夜遅くまで勉強させる。全てハラスメントである。子供は必要なことを自分で自然と学んでいく能力を持っている。大人は単に庇護さえすればよい。それがしつけと呼ばれようが教育と呼ばれようが、ハラスメントは子供の自然な発達を阻害する方向にしか働かない」などと言うことに、社会的貢献度がどれほどあるのだろうか。子供を「自然な発達」のみに委ねればよいのなら、サルとの違いがない。しつけや教育が、「過度に」行われれば、ハラスメントだというのならわかるが、一部の有害性をもって全部否定することは、格差が存在するが故に資本主義を全面否定するのと変わらない、極論だ。
そして、ハラスメントという「呪縛からの脱出」と題した7章で、「我々はどうすればいいのだろうか」と、対策を提言しているが、これも支離滅裂だ。ハラスメントに対して怒れと言い、それができずに苦しんでいる人を、「単なる小心者」よばわりしている。その決め付けのほうが、よほどハラスメントである。
読みはじめから、気を抜くとすぐわからなくなる、論旨が掴みにくい書物だと思いながらも我慢して読み進めたが、最後まで理解不能だった。
衝撃作
恩師から受けていた奇妙なハラスメントを、渾身で拒絶した直後に読んだ。ほとんどの頁において、確かににそうだという実感があり、波のように衝撃が重なっていく体験だった。
私自身が紛れもなく「ハラッシーハラッサー(ハラスメントをする人の外的規範を用いて周りの人に無節操にハラスメントをしかける状態)」だと感じる。「二枚舌(目の前に誰がいるかによって人格が変わってしまう状態)」も重なっていると気づいた時が、一番の衝撃であった。あまりに的を射られるので厳しく苦しいが、読みすすむにつれて学習回路と勇気が整っていくのが感じられた。
読了後、2ヶ月がたつ。ハラスメント的なものに接触すると、今も強い拒絶反応があり、内蔵が丸出しになっているような心もとなさである。しかし一方で再生の予感も大いにあり、じっくり考えるきっかけをつくってくれた本書に感謝している。
ハラスメントから脱却するためにはエンターテインメントが重要、と著者たちは強調するが、この本自体が極めて高いエンターテインメント性を保っている。
