荒井 一博

定価: ¥ 777
販売価格: ¥ 777
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発売日: 2007-12-13
発売元: 光文社
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たまには実家に帰って両親に顔を見せてやろうかと思う。しかし、田舎というのは超退屈なのだ。本の2~3冊は持ってかないと間が持たない。今回の帰省では「学歴社会の法則 教育を経済学から見直す (光文社新書 330)」を旅の友とすることにした。
JR上野駅から宇都宮線に乗る。幸い、上野発の列車なので席は座り放題だ。さっそく「学歴社会の法則 教育を経済学から見直す (光文社新書 330)」を取り出し、本の中に没入するが、馬鹿な子供が私の周囲で嬌声をあげている。いや、嬌声などという生やさしいものではない。
ここは動物園か?と言いたくなるほどの野放しぶりだ。親が見ていない隙に「学歴社会の法則 教育を経済学から見直す (光文社新書 330)」の表紙の角で奴らの眉間を思いっきりヒットしてやった。
経済学という視点
教育のいろいろな問題を教育学の視点で見ています。
教育を、経済的効果があるのかないのかというとらえ方は、違和感もありますが、一定の説得力はあるように感じました。
教育バウチャー制度、いじめ問題、不適格教師の問題、少人数学級の問題、授業評価制度などについても触れられています。
特に目新しい説を述べているわけではありませんが、経済学で説明されれば、納得できる部分が出てきます。
「道具・体系・独創」という学習方法は、傾聴に値します。
知識や体系を学ばなければ、思考力を鍛えることは不可能だといいます。
そのことから、著者は大学入試は、高校で習う全科目を課すべきだという意見です。
総じて言えば、著者の意見は、いま進んでいる「教育改革」とは逆の方向を目指しているようです。
これからの教育はどの方向で進むべきか考えてみる上で、いい勉強になりました。
「学校は人的資本を形成するのか?」を読んでいないようです
「学校は人的資本を形成するのか?」の評価がなかったので、拍子抜けしました。
院生の間で話題となった「学校は人的資本を形成するのか?」がウェブ上で読めるようになってから、長い期間が経ちました。著者の齋藤氏は現在、要約版もウェブ公開しています。シンプルなアイディアと実証分析を用いて、従来の賃金格差の分析や人的資本論を否定する齋藤氏の分析に対して、教育の経済学の専門家がどのような評価をしているのか?が、3年間気になっていました。
荒井氏の新刊が出たということで、読みましたが、一切「学校は人的資本を形成するのか?」に言及されていません。また、本書の中では大きな誤解を招く平均的大卒・高卒賃金差を使った大学教育の収益率を示しています。どうやら、荒井氏は「学校は人的資本を形成するのか?」を意図的に無視しているのではなく、読んでいないようです。「人的資本」や「学歴 賃金」で検索すれば、必ず見つかるこの分析を読んでいないというのは、情報収集の方法が偏っているようにも思います。
一方、バウチャー制度や学級規模に関する経済学的な整理には一読の価値があります。
人的資本論の最新バージョン
教育投資のあり方について論じています。
全体の印象としては、
ベッカーの「人的資本論」を21世紀の日本の現状を踏まえて、
整理しなおしているように思いました。
いじめなどの洞察、
バウチャーなどの政策論など、
著者の提言や指摘は勉強になります。
玄田先生や本田先生などは、
本書のような経済学的な(教育結果を左右する)原理を否定して、
その先には別途社会政策が必要だと言っています。
新書の限界はありますが、
次回作はもっと突っ込んでいただいてもいいかなと思います。
日本の教育政策は、
本書の方向に進んで行くような予感がありますし、
そうあっていただきたいと願います。
