沢泉 重一

定価: ¥ 680
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発売日: 2002-08
発売元: 角川書店
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たまには実家に帰って両親に顔を見せてやろうかと思う。しかし、田舎というのは超退屈なのだ。本の2~3冊は持ってかないと間が持たない。今回の帰省では「偶然からモノを見つけだす能力―「セレンディピティ」の活かし方 (角川oneテーマ21)」を旅の友とすることにした。
JR上野駅から宇都宮線に乗る。幸い、上野発の列車なので席は座り放題だ。さっそく「偶然からモノを見つけだす能力―「セレンディピティ」の活かし方 (角川oneテーマ21)」を取り出し、本の中に没入するが、馬鹿な子供が私の周囲で嬌声をあげている。いや、嬌声などという生やさしいものではない。
ここは動物園か?と言いたくなるほどの野放しぶりだ。親が見ていない隙に「偶然からモノを見つけだす能力―「セレンディピティ」の活かし方 (角川oneテーマ21)」の表紙の角で奴らの眉間を思いっきりヒットしてやった。
堅く考えないでもセレンディピティで自由な発想
セレンディピティを巡るうんちくと、考察、応用の書です。
難しい科学論からの解説でなく、その言葉の由来を歴史的に
詳細にひもとき、掘り起こしつつ、同時に、
「偶察力」という言葉に置き換えて、
これを一種の「能力」として、仕事に、日常生活に、趣味に
言葉遊びに、知的仕掛けとして使っていこう、というお話です。
驚嘆すべきは、著者の博覧強記ぶりです。セレンディピティ
を巡って、起源、歴史、古典、映画、科学論、科学史、
書籍、新聞、雑誌、ネットなど、おおよそあらゆる
情報ソースを駆使し、ちょっとした日常の場面で、
どんな場合にどう適用していくのが、おもしろいのか、
を、わかりやすく親しみやすい文章で開陳しています。
著者の記憶力と、セレンディピティへのこだわりが生んだ、
驚異の博識ぶりも本書の売りです。
「偶察力」を高める術
セレンディピティについて、その言葉の由来や能力の高め方といったことなどが全般的に論じられている。
「セレンディピティ」は、狭い意味では「探していたものを、他のものを探しているときに偶然に見つける能力」ということになるだろう。この本ではより広く「偶然を見逃さずに成功につなげる能力」という意味で使っている。著者が編み出した「偶察力(偶然を察知する能力)」という言葉は、とてもしっくりくる。日本語として広まるべきだ。
最初の3分の1は「セレンディピティ」という言葉の由来について。「セレンディップ(Serendip)の三人の王子」という物語に出てくる偶然についてを、イギリスの書簡王ホレス・ウォルポールが手紙の中で名詞化(Serendipity)したのが始まりなのだそうだ。他にも、この言葉が生まれた18世紀の社会状況や、ウォルポールの生い立ちについてなどが細やかに書かれている。これはこれでよく調べられているとは思うが、話が若干右往左往する感があり、「言葉の由来を知って何になる?」という感はあった。
だが、そうした感を払拭してあまりあるくらいによく書かれてあるのがそこから先の、セレンディピティを高めるための方法論だ。世界的な革命をもたらした発見の共通点をあげたり、トマス・クーンの唱えるパラダイムシフトとの関係やシンクロニシティという言葉とのちがいなどを述べている。さすがにセレンディピティ研究の先駆者が書いたものだけあり、これは発想に役立つと思うところが多かった(何か所も傍線を引いてしまった)。とくに「7 セレンディピティの向上」の章では、意図的にセレンディピティを高めるための一連のシステムを紹介している。
偶然という現象自体について述べた本はアーサー・ケストラーの『偶然の本質』などがあるが、この『偶然からものを見つけだす能力』はその偶然を人間の力によってうまく引き出して利用しようというものだ。「自分にできるかも」という期待感をもたせてくれる。また、偶然がともなうブレークスルーは、ともなわないものよりも大きな成果をもたらしうるそうだから、セレンディピティを高めたい気持ちは高まってくる。なんとも魅力ある話だった。
セレンディピティは能力である
ある人から好きな言葉として「セレンディピティ」という言葉をきいた直後にこの本の存在を知った.この本は「セレンディピティ」が何であるのかをしっかりと教えてくれる.単なる偶然ではないのである.能力であり、向上させることが可能である.自分のセレンディピティの向上のために努力をしよう.
