山崎 茂明

定価: ¥ 2,940
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発売日: 2007-11-20
発売元: みすず書房
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たまには実家に帰って両親に顔を見せてやろうかと思う。しかし、田舎というのは超退屈なのだ。本の2~3冊は持ってかないと間が持たない。今回の帰省では「パブリッシュ・オア・ペリッシュ―科学者の発表倫理」を旅の友とすることにした。
JR上野駅から宇都宮線に乗る。幸い、上野発の列車なので席は座り放題だ。さっそく「パブリッシュ・オア・ペリッシュ―科学者の発表倫理」を取り出し、本の中に没入するが、馬鹿な子供が私の周囲で嬌声をあげている。いや、嬌声などという生やさしいものではない。
ここは動物園か?と言いたくなるほどの野放しぶりだ。親が見ていない隙に「パブリッシュ・オア・ペリッシュ―科学者の発表倫理」の表紙の角で奴らの眉間を思いっきりヒットしてやった。
科学者として身に付けるべき倫理
偽装は食品業界だけでなく、真理探究が使命の科学界でも起きている。あるはずのデータがないことになったり、ないはずデータがあることになったり。本書はこれまでに起こったデータの捏造や偽造事件を例に挙げながら、研究者の発表倫理の問題に触れ、 “Publish or Perish(発表か死か)”という言葉に集約される科学界の体質に警鐘を鳴らしている(実際、この言葉は研究所にいるとしばしば耳にする)。
私自身、研究を生業にしている者だが、本書を読むまでは学術雑誌インパクトファクター(IF)の正確な定義やオーサーシップの本来の意味すら知らなかった。「世の中には悪いことする研究者もいるが、自分はそうならないようにしよう」という程度の認識でいた。科学は真理を探求し、“巨人の肩”の上に人類の叡智を集積する営みである。これからもそうであり続けるためには、最低限の研究倫理を理解しておく必要がある。IFの定義も知らずにNatureだのScienceだのと騒いでも仕方がない。
大学院を修了してこれから研究者として歩み始める人も、既に研究者として活躍している人も、科学者としての倫理を確認するために一読することをお勧めする。
